『水戸黄門』(日本映画、東映時代劇、1953年)

『水戸黄門』(日本映画、東映時代劇、1953年)

 佐々木康監督、比佐芳武脚本、月形龍之介、東千代之介、大川橋蔵、片岡千恵蔵、市川右太衛門、大友柳太朗、中村錦之助、大河内傳次郎、薄田研二、原健策、新藤英太郎、長谷川裕見子、花柳小菊、千原しのぶ、入江たかこ、櫻町弘子、若水美子出演、1957年(昭和32年)8月公開の日本映画『水戸黄門』を見る。

 私が物心ついた頃に見ていた水戸黄門は、東野英治郎が水戸黄門で、TBS系列のナショナル劇場で1969年8月4日から1983年4月11日まで放送されていたテレビドラマシリーズである。その後、同シリーズでは西村晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗と変遷しているが、私にとって最初の水戸黄門であった東野英治郎の印象が強く、水戸黄門といったら東野英治郎というくらいイメージが焼きついてしまっていた。

 ところが、あややにとっての水戸黄門は月形龍之介らしい。

 今回、初めて月形龍之介が演じる水戸黄門を見たのであるが、なるほど東野英治郎以降の水戸黄門とはガラリと違っていた。月形龍之介の水戸黄門は、東野英治郎以降の水戸黄門のような大らかさはなく、まるで剃刀のような切れ者といった風である。一分の隙さえないほど鋭い人物といった感じである。月形龍之介の水戸黄門を知っているあややが、他の俳優が演じている水戸黄門をへなちょこと思うのは無理からぬところがあるのを理解できた。確かに、月形龍之介の水戸黄門は抜きん出ている。水戸黄門は東野英治郎と焼きついたイメージが月形龍之介へと塗り替えられそうなくらいである。

 この映画を見ると、台詞の喋り方から所作、登場人物が放つ迫力と緊迫感が現代の時代劇とはまるで違うことに嫌でも気づかされる。こうした俳優の持つ人間的な力や演技は現在の日本人には失われてしまったのだと思わざるを得ない。真似しようとしても、もう出来ないのだろうなと思う。

 この『水戸黄門』を見ていると、助さんや格さんが三つ葉葵の紋所が描かれた印籠を取り出して「控え居ろう!この紋所が目に入らぬか」と一喝し、水戸の黄門様であることを明かすという設置はまったくない。どういやらこれは、脚本家の宮川一郎の発案によりナショナル劇場版で採用されたものらしい。

水戸黄門

水戸黄門

2009年02月27日 コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: テレビ・ドラマ

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