ABC(朝日放送)でテレビ朝日開局55周年記念として放送された二夜連続ドラマスペシャル『最も遠い銀河』の第一夜(放送日時 2013年2月2日(土) 21:00 〜 23:06)と第二夜(2013年2月3日(日) 21:00 〜 23:24)を見る。
あらすじは以下の通り。娘が溺死した同じ小樽の海で引き揚げられた白骨死体の女性は身元不明のまま10年前に未解決事件として捜査が打ち切られてしまったのを無念に思い続けていた元刑事の渡誠一郎(三浦友和)は、定年退職後3年が経過し生活にも慣れた頃、病院の検査で余命6カ月〜1年の末期ガンと判明する。その直後、ジュエリーデザイナーの李京愛(中村ゆり)が出演していたテレビ番組で偶然遺品と同じテッポウユリのペンダントの話を聞き、残りの人生を未解決事件の捜査に賭けるようになる。
第1夜では、新進気鋭の建築デザイナーの桐生晴之(伊藤英明)と江畑美里(蒼井優)、ジュエリーデザイナーの李京愛、暴力団関係者の木島浩(池内博之)、清家茜(蒼井優)の関係に謎が多く、サスペンスとして非常に面白く見ることができた。
第2夜では、謎の部分が明らかになっていくにつてれ、第1夜ほども面白みはなくなってしまった。むしろ、登場人物たちのおかしな行動が気になるようになってしまった。
桐生晴之は江畑美里が清家淳介(平岳大)によって絞殺された後に警察に届けず遺体を小樽の海に沈めてしまったのかが一番理解できない個所だ。少なくとも警察の捜査を待ってからその結果如何ではドラマのような行動もやむなしと納得できるのであるが。また、桐生晴之は結局、清家淳介を殺害して江畑美里の復讐を果たすのあるが、なぜ復讐するのがこれほどまで遅れたのかも理解できない。普通なら江畑美里の殺人事件から時間をおかないで復讐するのではないだろうか?
ドラマでは桐生晴之と江畑美里と李京愛と木島浩の友情をも超えるような深い結びつきが理解できるように描かれていない。李京愛がなぜあれほど桐生晴之を愛しているのか?木島浩は桐生晴之の身代わりとなってなぜ一番大事な命を捨てたのか?
すべてが明らかになった後で、渡誠一郎は桐生晴之に生きていたほしいとメッセージを残して亡くなるが、桐生晴之も船に油をまいて火をつけ焼身自殺をしてしまう。桐生晴之は小樽にホテルをつくるという江畑美里との約束を自分の野望といして半生をかけて追い求め続けた。清家淳介を殺したのは自分であることが分かってしまった以上、夢を実現できなくなってしまったわけであるから理解はできなくもない。ただ、そうすべきではなかったとは思う。
江畑美里と清家茜はまるで双子のようにそっくりで瓜二つといえるほど似ているので、二人には血のつながりともいうべき血縁関係があって出生の秘密があるのではとも考えられたが、結局何の関係もない赤の他人だということで終わった。話を面白くするための設定でしかなかったわけだ。
ドラマの中で建築デザイナーの葛城美希也(永井大)は唐突な飛び降り自殺をするが、あれはいったい何だったのだろか?どうも死ぬほどのことではないのではと思えてしまう。
あと変というのか疑問に思ったのは江畑美里の死亡原因である。江畑美里は桐生晴之によって絞殺されたわけなのだけれども、桐生晴之が江畑美里の首を絞めていたのを止めて部屋を出て行った後、江畑美里はまだ息があって携帯電話のボタンを押している場面が映っている。ということは、江畑美里は桐生晴之に首を絞められて死んでいなかったということになる。それなのに、なぜかその後すぐに江畑美里は死んでしまう???おかしいというのか変である。江畑美里は一体何が原因で死んだのだろうか?
第1夜が面白かっただけの第2夜のトーンダウンはちょっと残念だったけれども、ヒューマンサスペンスとして十分楽しませてもらった。
【出演者】
三浦友和、伊藤英明、蒼井優、小西真奈美/平岡祐太、池内博之、永井大、風吹ジュン、津川雅彦、佐野史郎、西村雅彦/岩城滉一、賀来千香子、石井正則、平岳大/山本學、神山繁/中村ゆり、藤田弓子、長谷川初範
【スタッフ】
原作:白川道『最も遠い銀河』(幻冬舎文庫)
脚本:龍居由佳里
演出:和泉聖治
チーフプロデューサー:五十嵐文郎[テレビ朝日]
プロデューサー:藤本一彦、大江達樹、西勇哉[テレビ朝日]