必殺シリーズは中村主水役を演じてきた藤田まことさんから、渡辺小五郎役の東山紀之さんに代替わりしてから見なくなってしまっていた。ところが、今回は里見浩太朗さんが俳優人生57年にして初の悪役に挑んだということで見てみることにした。
どうやらメインのレギュラーとなっているのは、渡辺小五郎(東山紀之)と涼次(松岡昌宏)、匳(田中聖)、お菊(和久井映見)の4人だということを今回初めて知った。
ドラマのあらすじは以下の通りだった。天下泰平になって久しい江戸の町に辻斬りが現れる。ところが、不思議なことに辻斬りにあった被害者はすべて急所を外して斬られており、斬り殺された者はいなかった。そのため、犯人は腕の悪い辻斬りの仕業ではないかと考えられた。被害者は皆近くにある小宮山診療処に運ばれて手当を受けていた。
犯人は、小宮山診療処の医師である小宮山勝之進(渡辺大)の父親である小宮山泰山(里見浩太郎)であった。医術が未熟な息子のために腕の確かな医師であった片岡悠馬(波岡一喜)を見習いとして雇って、自ら辻斬りを行いその被害者を練習台として小宮山診療処に運ばせていたのである。
里見浩太朗さんが仕事人にやられてしまうのかどうかが今回のドラマの見物だった。小宮山泰山は咳をしたとき血が出ていたので、仕事人に殺される前に病気で死んでしまう可能性もあると思われた。結末は、里見浩太朗さんが演じる小宮山泰山は渡辺小五郎に見事に斬られて死んでしまう。
それにしても、小宮山泰山という人物は無茶苦茶なことを息子の小宮山勝之進に強要している。なぜ医術の未熟な息子を腕の確かな医師のもとへ弟子としてつき修行させないで、いきなり診療処を開かせたのか理解に苦しむ。
今回は、流しの仕事人として胡桃割りの坐坊役の中村獅童さんが謎の人物として登場しドラマを複雑にしている。また、片岡悠馬の妹の志乃役として桜庭ななみさんが出演し花を添えていた。
今回新作の必殺シリーズを見て、やはり昔の必殺シリーズのほうが良かったと思った。新しい必殺は明るくてきれいでスマートなのである。昔の必殺は暗くて悪があって味があった。昔の必殺シリーズを見ていたのでどうしても比較してしまい新しい必殺があまり面白いとは思えない。
【出演者】東山紀之、松岡昌宏、田中聖 ・ 桜庭ななみ、渡辺大、中村獅童 ・ 野際陽子、中越典子、竹内力、左とん平 ・ 田口浩正、生瀬勝久、和久井映見 ・ 里見浩太朗 ほか
【スタッフ】脚本:寺田敏雄、監督:石原興、音楽:平尾昌晃、制作:ABC、テレビ朝日、松竹